「外国人騎手に乗り替わったから買い」――この感覚は正しいのか。過去10年のJRA平地レースを集計すると、外国人騎手への乗り替わりは通年免許組・短期免許組ともに全馬平均を大きく上回り、買い材料になることがわかります。ただし「当たりやすい」と「儲かる」は別物です。とくにルメール騎手の人気薄は、当たりやすさの割に回収率が極端に低く、最も割に合わないゾーンになっていました。本記事ではデータを通年組と短期組に分け、どこに妙味が残っているかまで整理します。
まずデータで言えることを先に示します。基準となる全馬平均は複勝率21.5%・単勝回収率72%・複勝回収率72%です。これに対して外国人騎手の数字は次の通りでした。
- 通年免許組(ルメール+M.デムーロ/12,194件)は複勝率48.1%。全馬平均の2倍以上の当たりやすさです。
- 短期免許組(6,584件)は複勝率39.4%。通年組には及びませんが、これも全馬平均を大きく上回ります。
- 乗り替わりに限っても、通年組への乗り替わり(6,438件)で複勝率45.9%、短期組への乗り替わり(4,845件)で複勝率37.1%と、いずれも高水準でした。
ここで重要なのは、回収率がいずれも100%未満だという点です。つまり「当たりやすく損が小さい」のであって、機械的に買えば儲かるという話ではありません。儲けにつなげるには、同じ当たりやすさでも回収率が高いゾーンを選ぶという発想が必要になります。そして、その差が最も極端に出たのがルメール騎手の人気帯別データでした。
| 区分 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収 | 複勝回収 |
|---|---|---|---|---|
| 全馬平均 | ― | 21.5% | 72% | 72% |
| 通年免許組 12,194件 | 21.0% | 48.1% | 75% | 81% |
| 短期免許組 6,584件 | 16.6% | 39.4% | 78% | 79% |
※回収率はいずれも100%未満です。色は儲けの有無ではなく、相対的な妙味(おおむね80%以上=緑、72〜79%=黄、それ未満=赤)を示します。
当たりやすさ(複勝率)では通年組が抜けています。一方で単勝回収率は短期組が78%とやや上で、「当たりやすさ=回収率の高さ」ではないことがこの段階で見えてきます。
通年免許組はルメール・M.デムーロの2名です。1つにまとめると実像を見誤ります。重賞成績も併せて見てみます。
| 騎手 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収 | 複勝回収 |
|---|---|---|---|---|
| ルメール 全体 6,887件 | 25.5% | 54.9% | 75% | 82% |
| M.デムーロ 全体 5,307件 | 15.1% | 39.2% | 74% | 81% |
| ルメール(重賞) 648件 | ― | 47.8% | 90% | 83% |
| M.デムーロ(重賞) 541件 | ― | 31.2% | 80% | 75% |
出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)
ルメールは複勝率54.9%と当たりやすさで群を抜き、重賞では単勝回収率90%と回収率も高水準です。「大舞台に強い」という印象はデータでも裏づけられます。M.デムーロは複勝率こそ39.2%ですが、複勝回収率81%は全体平均を上回っており、相対的な妙味が残っているタイプです。
| 区分 | 複勝率 | 単勝回収 | 複勝回収 |
|---|---|---|---|
| ルメール 1番人気 3,210件 | 68.4% | 77% | 84% |
| ルメール 7番人気以下 231件(参考値) | 12.6% | 31% | 62% |
| M.デムーロ 1番人気 1,126件 | 65.5% | 75% | 85% |
| M.デムーロ 7番人気以下 1,085件 | 11.4% | 66% | 71% |
| 短期組 1番人気 1,431件 | 69.1% | 84% | 87% |
| 短期組 2-3番人気 2,005件 | 49.5% | 83% | 83% |
| 短期組 7番人気以下 1,493件 | 10.6% | 65% | 69% |
※ルメール7番人気以下は231件とサンプルがやや少ないため参考値です。色は相対的な妙味の目安で、回収率はすべて100%未満です。
注目すべきは1番人気の信頼度と回収率で短期免許組がむしろ上だという点です。短期組の1番人気は複勝率69.1%・複勝回収率87%。ルメール(68.4%・84%)やM.デムーロ(65.5%・85%)とほぼ同等の当たりやすさで、回収率は一段高い。1番人気で素直に買えるゾーンとして優秀です。
同じ「外国人騎手」でも、人気のかかり方で結果は大きく変わります。代表的な4パターンをカードで整理します。
7番人気以下で複勝率12.6%(231件・参考値)。当たりやすさはM.デムーロの人気薄(11.4%)とほぼ同じなのに、単勝回収率は31%とM.デムーロの66%の半分以下。名前で過剰人気になり、配当が削られた結果です。これは騎手の能力の問題ではなく、人気が集まりすぎることによる必然です。
1,431件で複勝率69.1%・複勝回収率87%。当たりやすさと回収率を両立する最良ゾーン。人気でも妙味が残りやすく、来日トップ騎手が1番人気に支持された場合は信頼度が高いと読めます。
重賞648件で複勝率47.8%・単勝回収率90%。重賞という人気が割れやすい舞台では、過剰人気の弊害が薄まり回収率も高くなります。GⅠ・重賞のルメールは依然として軸として有力です。
全体の複勝率39.2%はルメールに劣りますが、複勝回収率81%と妙味は十分。人気薄でも単勝回収率66%(1,085件)と過度には削られず、ルメールほど人気が集中しない分、配当のうまみが残るタイプです。
ここまでのデータを、実際の馬券行動に落とし込みます。
- ルメールの過剰人気を避ける(特に人気薄)人気薄のルメールは単勝回収率31%(参考値)。当たりやすさの割に最も割に合わないゾーンです。「ルメールだから」で人気薄を買う、軸にするのは避けたい判断です。
- 短期組の1番人気は素直に信頼する複勝率69.1%・複勝回収率87%。当たりやすさと回収率を両立する最良ゾーンなので、来日トップ騎手の1番人気は軸として扱いやすい。
- M.デムーロの相対的な妙味を拾うルメールほど人気が集中しないため配当が残ります。複勝回収率81%を踏まえ、人気がやや甘い場面でこそ評価を上げるのが有効です。
- 重賞のルメールは軸候補として残す重賞は単勝回収率90%・複勝率47.8%。人気が割れやすい大舞台では過剰人気の弊害が薄まるため、重賞のルメールは引き続き軸として有力です。
本記事の数字は「当たりやすく損が小さい」ことを示すもので、機械的に買えば儲かるという意味ではありません。妙味の大小を比較する材料として使ってください。
7番人気以下は231件とサンプルがやや少なめです。傾向の方向性は読めますが、断定はせず参考値として扱っています。
短期免許組はモレイラ・ムーア・レーン・C.デムーロなど来日騎乗の主要騎手を当サイトで選定したもので、公式分類ではありません。C.デムーロはM.デムーロの弟で短期免許組として兄と区別して集計しています。
ルメールの人気薄が割に合わないのは人気が集まりすぎる結果であって、騎手の能力の問題ではありません。実力と配当のうまみは別の話として切り分けて考えます。
- 外国人騎手への乗り替わりは通年・短期とも全馬平均を大きく上回る買い材料(通年組複勝率48.1%/短期組39.4%)。
- 当たりやすさは通年組(特にルメール複勝率54.9%)が抜けており、重賞でも強い(ルメール単回90%)。
- ただしルメールの人気薄は最も割に合わない。複勝率12.6%(参考値)でM.デムーロの人気薄と同等なのに、単回31%は半分以下。
- 短期組の1番人気は複勝率69.1%・複回87%と妙味が残る。素直に信頼できるゾーン。
- 狙い方はルメールの過剰人気を避け、短期組の1番人気とM.デムーロの相対的妙味を拾うこと。
出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)
※短期免許組の対象騎手は来日騎乗の主要騎手を当サイトで選定したもので、公式分類ではありません。記載の回収率はいずれも100%未満で、「当たりやすく損が小さい」ことを示す相対指標です。
