2025年11月30日、東京競馬場。ジャパンカップの直線で、日本のマスカレードボールとフランスのカランダガンが馬体を併せ、ゴールまで壮絶に叩き合いました。結果はアタマ差。惜敗した日本の4歳馬は、勝ち馬を「世界最強」の座に押し上げる相手役になりました。
あれから8か月。2頭は今度はアウェーの英国・アスコットで再びぶつかります。キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(G1・7月25日)。この記事では、日本馬がまだ勝てていないこのレースの60年近い挑戦の歴史と、ジャパンカップの再戦がどんな意味を持つのかを整理します。
- キングジョージは英国・アスコットの芝約2390m。欧州の中長距離G1の最高峰のひとつで、日本馬は過去6頭が挑戦して未勝利(最高は2006年ハーツクライの3着)
- 今年はマスカレードボールとワーテンベルクの日本2頭が参戦予定。勝てば日本馬初制覇となる
- 最大の見どころは、2025年ジャパンカップでアタマ差の死闘を演じたカランダガンとの再戦。カランダガンは同レースをJRAレコードで制し世界ランク1位に立った馬
- 舞台は日本の高速馬場から、欧州の力の要る芝へ。ホームで僅差だった2頭の力関係が、条件の違うアウェーでどう出るかが焦点
※出走馬は7月23日(現地)の最終確定で変わる可能性があります。本記事は7月下旬時点の情報に基づく暫定です。
まず、この物語の起点となったレースを振り返ります。2025年のジャパンカップは、外国馬が20年ぶりに勝ち、コースレコードが生まれた歴史的な一戦でした。
- レース
- 第45回ジャパンカップ(G1・東京芝2400m・良)
- 1着
- カランダガン(M.バルザローナ)
- 2着
- マスカレードボール(C.ルメール)/着差アタマ
- 3着
- ダノンデサイル/2着から2馬身半差
- 勝ちタイム
- 2分20秒3(2018年アーモンドアイの2分20秒6を更新するJRAレコード)
- 意味
- 外国調教馬の勝利は2005年アルカセット以来20年ぶり。カランダガンは世界ランク1位の座へ
坂を駆け上がって先頭に立ったクロワデュノールを、外からマスカレードボールとカランダガンが一気に交わし、残り200mからはこの2頭のマッチレース。最後はカランダガンがアタマ差だけ前に出ました。3着まで2馬身半あり、実質的に2頭だけが抜け出した勝負だったことが分かります。日本のファンにとっては、ホームの高速決着でわずかに屈した悔しさが残る一戦でした。その相手と、今度は海の向こうで再びやり合う——これがキングジョージ2026の芯にある物語です。
キングジョージは、日本馬にとって長く「勝てない大レース」であり続けてきました。挑んだのはいずれも時代を代表するGI級の名馬ばかり。それでも最高が3着です。
| 年 | 馬名 | 着順 | おもな実績・鞍上 |
|---|---|---|---|
| 1969 | スピードシンボリ | 5着 | 天皇賞(春)馬。日本馬の欧州遠征の先駆け |
| 1985 | シリウスシンボリ | 8着 | 日本ダービー馬。単独で渡欧 |
| 2000 | エアシャカール | 5着 | 皐月賞・菊花賞馬。鞍上は武豊 |
| 2006 | ハーツクライ | 3着 | 前年有馬でディープインパクトを撃破。日本馬最高着順 |
| 2012 | ディープブリランテ | 8着 | 同年の日本ダービー馬 |
| 2019 | シュヴァルグラン | 6着 | 2017年ジャパンカップ覇者。父はハーツクライ |
出典:各種競馬報道・公式記録より当サイト整理。着順・実績は日本語各紙報道に基づきます。
最も勝利に近づいたのが2006年のハーツクライでした。2番人気に支持され、直線では1番人気ハリケーンラン、3番人気エレクトロキューショニストとの三つ巴の叩き合いに。一度は先頭に立つ場面もありましたが、最後は競り負けて3着。GI馬ばかりの6頭が挑んで、連対(2着以内)すら一度もない——それがこのレースの重みです。マスカレードボールとワーテンベルクが挑めば、7頭目・8頭目の挑戦者ということになります。
マスカレードボールを所有する社台レースホース(吉田照哉代表)は、2006年に3着に敗れたハーツクライのオーナーでもあります。あと一歩で勝利を逃した記憶から20年。同じオーナーが、天皇賞・秋を史上最速の上がり3ハロン32秒3で制した4歳馬を擁して、再びこの舞台に戻ってきました。鞍上のルメール騎手も「吉田一族への恩返し」に言及しています。
マスカレードボール(牡4)
父ドゥラメンテ×母マスクオフ(母父ディープインパクト)/手塚貴久厩舎
2025年天皇賞・秋をG1勝ち馬史上最速の上がり32秒3で快勝。続くジャパンカップでカランダガンにアタマ差2着。国内8戦4勝の実力馬で、ブックメーカー評価は第2番人気。鞍上はルメール騎手。
ヴェルテンベルク
父キタサンブラック/宮本博厩舎/吉田照哉氏所有
2026年天皇賞・春でクロワデュノールと約2cm差の2着。12番人気での激走が世界への扉を開いた。欧州向きのスタミナ型で、タフな流れで持ち味が出るタイプ。「ひと泡吹かせたい」と陣営。
- カランダガン
- 昨年の勝ち馬・世界ランク1位。父Gleneagles/グラファール厩舎/アガ・カーン・スタッズ所有。連覇がかかる
- 今年の充実度
- 今季はグランプリ・ド・サンクルーを豪快な末脚で勝利。ジャパンカップ以降も力を示している
- 頭数
- 暫定14頭立て。欧州のG1実績馬が揃う国際色豊かな一戦
マスカレードボールにとって、カランダガンは「ホームで、わずかアタマ差だけ先着を許した相手」です。裏を返せば、条件次第で逆転が視野に入るほど僅差だったということでもあります。焦点は舞台の違い。ジャパンカップは2分20秒3という日本らしい高速決着でしたが、キングジョージのアスコットは起伏があり力の要る欧州の芝。時計の速い決着で強かった2頭の力関係が、性質の異なる馬場でどう変わるのかが、このレース最大の見どころです。
- 日本時間の深夜に注目発走は日本時間7月25日23時35分予定。JRAの海外馬券発売対象レースです。
- 「アタマ差」の再戦という視点で見るジャパンカップの上位2頭が、条件を変えて再びぶつかります。前回との着差がどう動くかが物語の核です。
- 馬場と展開に着目する力の要る欧州の芝、そして誰がペースを作るか。高速決着向きか、タフな流れ向きかで日本2頭の明暗が分かれる可能性があります。
- 歴史の証人になる日本馬6頭が挑んで届かなかった舞台。もし勝てば60年近い挑戦の歴史が塗り替わる瞬間です。
この記事は海外レースを扱うため、当サイトが普段使うJRA平地10年の集計データではなく、各種報道・公式発表をもとに構成しています。数字の性格が普段のコース攻略記事とは異なります。
最終出走馬は現地7月23日の確定を待つ必要があります。人気・頭数・馬場は直前まで動くため、当日の最新情報をご確認ください。
本記事はレースの背景と物語を紹介するもので、馬券の買い方を推奨するものではありません。海外馬券の購入は自己責任でお願いします。
- キングジョージは日本馬が6頭挑んで未勝利(最高2006年ハーツクライ3着)の欧州中長距離G1
- 2026年はマスカレードボール・ワーテンベルクの日本2頭が挑戦予定
- 最大の見どころは2025年ジャパンカップでアタマ差だったカランダガンとの再戦。相手は世界ランク1位
- 舞台は高速の東京から力の要るアスコットへ。馬場の違いが力関係にどう出るかが焦点
- 勝てば日本馬初制覇。60年近い挑戦史が塗り替わる
出典:レース結果・各馬プロフィールはJRA公式、netkeiba、各競馬報道(スポーツ報知・日刊スポーツ・サンケイスポーツ等)およびブラッドホース等の海外競馬メディアより当サイトが整理。着差・タイム・世界ランクは各公式発表に基づきます。本記事は特定のレース結果や馬券的中を保証するものではありません。海外馬券の購入は自己責任でお願いします。
