阪神競馬場には、内回りと外回りの2つのコースがあります。同じ競馬場で、同じ芝で、それでも走る舞台が違う。この構造が、阪神の傾向を分かりにくくしています。
当サイトで過去10年(2016〜2026年)の阪神4,904レースを集計したところ、その違いがはっきり出ました。内回りの万馬券率70.6%に対し、外回りは64.2%。追込の複勝率は9.8%対12.3%です。さらに芝とダートで枠の有利が逆転し、芝の内枠有利(+5.4ポイント)は全10場で最も強いという結果になりました。この記事では、阪神の全11コースを横並びで比較します。
- 内回り(1200・1400・2000・2200m)は万馬券率70.6%・追込9.8%、外回り(1600・1800・2400m)は64.2%・12.3%
- 芝の内枠有利+5.4ポイントは全10場で最強。ダートでは-2.9ポイントと逆転する
- 最も堅いのは芝2400m(万馬券率53.1%)。芝2400m4場でも最も堅い
- 最も荒れるのは芝1400m(77.5%)と芝1200m(76.8%)。短距離ほど荒れる
- ダートは1400mの外枠有利が最も強い(-5.1pt)。2000mだけは内有利に戻る
対象は阪神競馬場で行われた4,904レース(芝2,188・ダート2,716)です。年間50レース未満のコースは除いています。複勝率とは3着以内に入る割合のことです。
| コース | 回り | R数 | 万馬券率 | 配当中央値 | 1番人気複勝率 | 追込 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 芝1200m | 内 | 233 | 76.8% | 28,240円 | 60.9% | 8.4% |
| 芝1400m | 内 | 347 | 77.5% | 29,720円 | 63.7% | 8.8% |
| 芝1600m | 外 | 531 | 70.4% | 23,200円 | 68.2% | 11.3% |
| 芝1800m | 外 | 410 | 60.5% | 16,180円 | 67.8% | 13.0% |
| 芝2000m | 内 | 408 | 62.0% | 16,160円 | 66.2% | 11.1% |
| 芝2200m | 内 | 97 | 67.0% | 16,300円 | 67.0% | 11.8% |
| 芝2400m | 外 | 162 | 53.1% | 11,110円 | 71.0% | 13.9% |
| ダ1200m | — | 596 | 76.7% | 29,140円 | 65.4% | 5.1% |
| ダ1400m | — | 764 | 75.5% | 28,210円 | 66.0% | 6.3% |
| ダ1800m | — | 1,161 | 68.9% | 21,320円 | 68.1% | 5.5% |
| ダ2000m | — | 195 | 69.7% | 24,500円 | 66.7% | 6.6% |
出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)。芝2200mは97レース、ダ2000mは195レースのため参考値です。
芝の中で最も堅いのは芝2400m(53.1%)。配当中央値11,110円は全コースで最も低い数字です。逆に最も荒れるのは芝1400m(77.5%)で、配当は2.7倍になります。
| 区分 | 対象コース | R数 | 万馬券率 | 追込の複勝率 | 3着内の逃げ先行率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 内回り | 1200・1400・2000・2200m | 1,085 | 70.6% | 9.8% | 58.4% |
| 外回り | 1600・1800・2400m | 1,103 | 64.2% | 12.3% | 53.4% |
出典:同上。数値は出走レース数で加重平均したもの。
内回りのほうが6.4ポイント荒れます。そして追込が届く割合も、外回り12.3%に対し内回り9.8%と差が出ました。
阪神の外回りは直線が473mあり、内回り(356m)より120m近く長い。長い直線では実力どおりに決まりやすく、短い直線では位置取りの綾が結果を左右するという、素直な構造です。
実用的には「距離を見たら、まず内回りか外回りかを確認する」のが阪神の第一歩になります。芝1800mと芝2000m、たった200mの違いですが、前者は外回りで追込13.0%、後者は内回りで11.1%。舞台が別物です。
| 競馬場 | 芝の内外差 | ダートの内外差 |
|---|---|---|
| 阪神 | +5.4pt | -2.9pt |
| 函館 | +5.2pt | -1.0pt |
| 中京 | +4.6pt | +2.1pt |
| 中山 | +4.0pt | -2.8pt |
| 東京 | +0.9pt | -2.3pt |
| 新潟 | -4.4pt | -3.0pt |
出典:同上。12頭以上のレースが対象。プラスは内枠有利、マイナスは外枠有利。
阪神の芝は内枠22.5%・外枠17.1%で、+5.4ポイントは全10場で最も大きい差でした。当サイトが分析した新潟(-4.4pt)とは正反対の性質です。
ところがダートでは内枠18.0%・外枠20.9%と逆転します。同じ競馬場で、馬場が変わると枠の意味も変わるという点は中山と共通しています。
ダートを距離別に見ると、さらに細かい構造が出ます。
| コース | 内枠 | 中枠 | 外枠 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| ダ1400m | 16.1% | 20.4% | 21.2% | -5.1pt |
| ダ1200m | 17.3% | 20.3% | 20.4% | -3.0pt |
| ダ1800m | 19.5% | 21.1% | 21.2% | -1.6pt |
| ダ2000m 参考値 | 22.2% | 19.2% | 20.7% | +1.5pt |
出典:同上。12頭以上のレースが対象。
ダ1400mの外枠有利が最も強く(-5.1pt)、ダ2000mだけは内有利に戻ります。ダ1400mは芝コースからスタートするため、外の馬がスピードに乗りやすい。一方ダ2000mは1周する形になり、内を通れる利点が生きると考えられます。
| コース | R数 | 万馬券率 | 配当中央値 | 1番人気複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 阪神芝2400m | 162 | 53.1% | 11,110円 | 71.0% |
| 東京芝2400m | 295 | 55.3% | 13,250円 | 71.2% |
| 京都芝2400m | 125 | 61.3% | 15,470円 | 74.4% |
| 新潟芝2400m 参考値 | 55 | 81.8% | 31,080円 | 72.7% |
出典:同上。新潟芝2400mは55レースのため参考値です。
阪神芝2400mの万馬券率53.1%は、日本ダービーが行われる東京芝2400m(55.3%)よりも低い数字でした。配当中央値11,110円も最も低い。長い直線の外回りで、しかも距離が長い。実力が反映されやすい条件が揃っています。
神戸新聞杯や宝塚記念(芝2200m)など、阪神の中長距離重賞で堅い決着が多いのは、このコース特性によるところが大きいと考えられます。
最も堅いコース
芝2400m|万馬券率53.1% / 配当中央値11,110円
外回りの長い直線と、実力が問われる距離。追込13.9%と後ろからも届き、1番人気の複勝率71.0%。全国の芝2400mでも最も堅いコースです(162レース)。
最も荒れるコース
芝1400m|万馬券率77.5% / 内枠21.9%・外枠15.5%
内回りの短距離。逃げ馬の複勝率43.8%が高く、枠の差も6.4ポイントと大きい。前に行ける内枠の馬から組み立てるコースです。
ダートは外枠、ただし2000mは別
ダ1400m -5.1pt / ダ2000m +1.5pt
ダートは基本的に外枠有利ですが、2000mだけは内有利に戻ります。1周するコース形態の違いによるものと考えられます(195レース・参考値)。
- まず内回りか外回りかを確認する1600・1800・2400mが外回り、それ以外が内回り。万馬券率で6.4ポイント違います。
- 芝では内枠を評価する内枠22.5%・外枠17.1%。+5.4ptは全10場で最大の差です。
- ダートでは外枠に切り替えるとくにダ1400mは内枠16.1%・外枠21.2%。内枠を引いた人気馬は割り引きます。
- 外回りの中長距離は堅く構える芝2400m53.1%、芝1800m60.5%。相手を広げすぎないほうが実態に合います。
- 内回りの短距離は広めに買う芝1400m77.5%、芝1200m76.8%。同じ阪神でも買い方を変えます。
芝2200mは97レース、ダ2000mは195レース、新潟芝2400mは55レースで、いずれも300を下回るため参考値です。
2021年から2023年春にかけて京都競馬場が改修中だったため、この期間は阪神で例年より多くの重賞が施行されました。通常年とは開催内容が異なる点にご留意ください。
本記事は10年分をまとめた数値です。開催が進むと馬場が荒れて内が不利になるなど、時期による変化は反映していません。
22.5%は「3着以内に来やすい」という意味です。内枠が有利だからといって、そのまま利益になるわけではありません。回収率は通常100%未満です。
- 阪神は内回り(万馬券率70.6%)と外回り(64.2%)で性質が変わる
- 芝の内枠有利+5.4ptは全10場で最強。ダートは-2.9ptで逆転する
- ダートは1400mの外枠有利が最強(-5.1pt)、2000mだけ内有利に戻る
- 最も堅いのは芝2400m(53.1%・中央値11,110円)。東京芝2400mより堅い
- 最も荒れるのは芝1400m(77.5%)。内回りの短距離は買い方を変える
- 追込は外回り12.3%・内回り9.8%。直線473mか356mかの差
出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)。対象は阪神競馬場で行われた4,904レース(年間50レース未満のコースを除く)。枠順の集計は12頭以上のレースに限定し、馬番を3分割して内・中・外としています。脚質はコーナー通過順から判定し、前走情報は各馬の出走履歴を時系列に復元して算出しています。
