当サイトで過去10年のJRA重賞106レースを集計し、「1〜3番人気が勝った回数」で並べました。10回すべてで上位人気が勝ったのは3レースだけ。天皇賞(秋)、天皇賞(春)、そしてサウジアラビアロイヤルカップです。
そのうち配当が最も低いのがこのレースでした。3連単の配当中央値9,490円は、天皇賞(秋)の19,615円、天皇賞(春)の23,160円を大きく下回ります。JRAの重賞で最も堅いレースと言っていい数字です。この記事では、なぜそこまで堅くなるのかを整理します。
- 1〜3番人気の勝利が10/10回。配当中央値9,490円はJRA重賞106レースで最低
- 理由は頭数。平均9.4頭で、10回中9回が10頭以下
- 東京芝1600mの2歳戦は7〜9頭で万馬券率33.3%、13頭以上で59.7%
- 前走が新馬戦の馬が28.6%。キャリア3戦以上は16.7%で、2歳重賞に共通する構造
- ただし例外あり。18頭立てになった2017年と、1番人気が4着に沈んだ2022年は12万馬券
| レース | 1〜3番人気の勝利 | 平均頭数 | 配当中央値 |
|---|---|---|---|
| サウジアラビアRC(G3) | 10/10回 | 9.4頭 | 9,490円 |
| 天皇賞(秋)(G1) | 10/10回 | 14.5頭 | 19,615円 |
| 天皇賞(春)(G1) | 10/10回 | 16.1頭 | 23,160円 |
| 阪神大賞典(G2) | 9/10回 | 11.8頭 | 9,345円 |
| デイリー杯2歳S(G2) | 9/10回 | 9.0頭 | 14,150円 |
| 神戸新聞杯(G2) | 9/10回 | 13.0頭 | 22,220円 |
| 毎日王冠(G2) | 8/10回 | 11.8頭 | 11,545円 |
| 新潟2歳S(G3) | 8/10回 | 12.4頭 | 14,620円 |
出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)。過去10回以上施行された重賞106レースのうち上位を抜粋。いずれも10回のため参考値です。
上位人気の勝利が10回続くレースは、106のうち3つしかありません。そのなかでサウジアラビアRCだけが平均9.4頭という少頭数です。天皇賞の2レースは14〜16頭立てで、人気馬が勝ってもそれなりの配当がつきます。
| 年 | 頭数 | 3連単配当 | 1番人気 | 勝ち馬 |
|---|---|---|---|---|
| 2016 | 9 | 5,040円 | 3着 | ブレスジャーニー(3番人気) |
| 2017 | 18 | 6,920円 | 2着 | ダノンプレミアム(2番人気) |
| 2018 | 8 | 12,060円 | 1着 | グランアレグリア(1番人気) |
| 2019 | 9 | 1,080円 | 1着 | サリオス(1番人気) |
| 2020 | 10 | 34,420円 | 2着 | ステラヴェローチェ(3番人気) |
| 2021 | 7 | 670円 | 1着 | コマンドライン(1番人気) |
| 2022 | 9 | 129,400円 | 4着 | ドルチェモア(2番人気) |
| 2023 | 9 | 3,520円 | 2着 | ゴンバデカーブース(3番人気) |
| 2024 | 7 | 17,290円 | 5着 | アルテヴェローチェ(2番人気) |
| 2025 | 8 | 32,330円 | 3着 | エコロアルバ(2番人気) |
出典:同上。
頭数は7、7、8、8、9、9、9、9、10、18。2017年を除く9回が10頭以下です。配当も2019年1,080円、2021年670円と、重賞とは思えない水準の年があります。
一方で万馬券は5回出ています。最も荒れた2022年は1番人気が4着に敗れて129,400円。勝ち馬は2番人気ですが、2〜3着に人気薄が入ると少頭数でも配当は跳ねます。
| 東京芝1600m・2歳戦 | レース数 | 万馬券率 | 配当中央値 |
|---|---|---|---|
| 7〜9頭 | 36 | 33.3% | 5,530円 |
| 10〜12頭 | 72 | 56.9% | 13,940円 |
| 13頭以上 | 154 | 59.7% | 14,605円 |
出典:同上。東京芝1600mで行われた2歳限定戦が対象。7〜9頭は36レースのため参考値です。
7〜9頭では万馬券率33.3%、13頭以上では59.7%。配当中央値は2.6倍の差です。
当サイトは毎日王冠の記事で、東京芝1800mが8〜11頭のとき万馬券率37.5%に下がることを示しました。頭数は荒れ方を決める最も強い信号で、これは年齢やクラスを問いません。サウジアラビアRCが堅いのは、レースの格や面子ではなく毎年7〜10頭で行われるからと考えるのが正確です。
理由は時期にあります。10月上旬の2歳重賞は、デビューしたばかりの馬しか出走できません。出走できる馬自体が限られるため、少頭数になりやすい構造です。
| 区分 | 頭数 | 複勝率 |
|---|---|---|
| 前走 新馬戦 | 577 | 28.6% |
| 前走 オープン・重賞 | 679 | 22.7% |
| 前走 未勝利戦 | 379 | 21.1% |
| キャリア1戦 | 586 | 28.5% |
| キャリア2戦 | 606 | 25.4% |
| キャリア3戦以上 | 588 | 16.7% |
出典:同上。2歳限定の芝重賞1,799頭が対象。基準となる複勝率は23.3%です。
前走が新馬戦だった馬が28.6%で、すでにオープンや重賞を経験している馬(22.7%)を上回ります。キャリアで見ても1戦28.5%に対し3戦以上は16.7%。
当サイトは新潟2歳ステークスと中京2歳ステークスでも同じ集計をしました。新馬勝ち直後が35〜36%、3戦以上が19〜20%。さらに3歳の紫苑ステークスでは、キャリア8戦以上が12.8%でした。2歳夏から3歳秋まで、「使われていない馬ほど走る」という関係は一貫しています。
実際このレースでは、勝ち馬10頭のうち9頭が前走新馬戦でした(JRA公開情報による)。馬柱の行数を数えるだけで、有力馬の輪郭がつかめます。
| 人気 | 頭数 | 複勝率 |
|---|---|---|
| 1〜3番人気 | 420 | 54.0% |
| 4〜6番人気 | 420 | 25.2% |
| 7番人気以下 | 959 | 9.1% |
出典:同上。2歳限定の芝重賞が対象。
1〜3番人気が54.0%、7番人気以下は9.1%。当サイトがアイルランドトロフィーの記事で示した牝馬限定重賞(1〜3番人気40.7%)とは対照的で、2歳重賞は上位人気を素直に信頼できる条件です。
少頭数のレースでは、そもそも7番人気以下の馬が1〜3頭しかいません。穴を狙う土俵が用意されていないとも言えます。
| 区分 | 全体(706R) | 2歳限定(264R) |
|---|---|---|
| 万馬券率 | 64.2% | 54.9% |
| 配当中央値 | 17,460円 | 13,010円 |
| 1番人気の複勝率 | 67.6% | 72.0% |
| 3着内の逃げ先行率 | 49.1% | 56.9% |
| 追込の複勝率 | 9.8% | 8.9% |
出典:同上。
東京芝1600mは2歳限定戦になると、万馬券率が64.2%から54.9%へ下がります。1番人気の複勝率も72.0%と高い。2歳戦のほうが堅いのは、当サイトが新潟芝1600mで確認したのと同じ傾向です。
脚質では3着内の逃げ先行率が56.9%と、全体(49.1%)より高くなります。追込は8.9%。2歳戦は前に行ける馬がやや有利で、後方一気は決まりにくい条件です。枠順は内19.5%・中19.1%・外19.5%とフラットでした。
狙いたい形
前走新馬勝ち × 上位人気 × 7〜9頭立て
デビュー戦を勝ったばかりで、人気を集めている馬。前走新馬28.6%、1〜3番人気54.0%。少頭数なら信頼度はさらに上がります。
評価を下げたい形
キャリア3戦以上16.7% / 7番人気以下9.1%
すでに何度も使われている馬。2歳夏から3歳秋まで一貫して、使い込まれた馬は苦戦します。人気薄を狙う土俵でもありません。
それでも万馬券は5回
2022年は1番人気4着で129,400円
勝ち馬は10年とも1〜3番人気ですが、2〜3着に人気薄が入れば配当は跳ねます。頭は固く、相手は少し広げる構えが実態に合います。
- 頭数を確認する東京芝1600mの2歳戦は7〜9頭で万馬券率33.3%。少頭数なら点数を絞ります。
- 馬柱の行数を数えるキャリア1戦なら28.5%、3戦以上なら16.7%。最も手軽な指標です。
- 前走新馬組を上位に取る28.6%で、OP・重賞経験馬(22.7%)を上回ります。実績より底を見せていないことを評価します。
- 軸は上位人気から選ぶ1〜3番人気が54.0%、勝ち馬も10年とも1〜3番人気。穴を頭で狙う場面ではありません。
- それでも相手は少し広げる万馬券は10回中5回。2〜3着まで固めると取りこぼします。
過去10年で唯一、フルゲートに近い頭数で行われた年です。頭数は年によって変わる可能性があり、「毎年少頭数」と決めつけないでください。
「1〜3番人気の勝利10/10回」は10レースによるものです。傾向として断定できる母数ではありません。2歳重賞1,799頭による集計とあわせて読んでください。
勝ち馬が上位人気でも、万馬券は10回中5回出ています。2022年は129,400円。2〜3着に人気薄が入れば配当は跳ね上がります。
54.0%は「3着以内に来やすい」という意味です。上位人気はオッズも低いため、当たりやすさがそのまま利益になるわけではありません。回収率は通常100%未満です。
- 1〜3番人気の勝利10/10回・配当中央値9,490円。JRA重賞106レースで最も堅い
- 堅さの正体は頭数。平均9.4頭で、10回中9回が10頭以下
- 東京芝1600mの2歳戦は7〜9頭で万馬券率33.3%、13頭以上で59.7%
- 前走新馬組28.6%、キャリア3戦以上16.7%。2歳夏から3歳秋まで一貫する構造
- 1〜3番人気54.0%、7番人気以下9.1%。穴を狙う土俵がない
- ただし万馬券は5回。2022年は1番人気4着で129,400円
出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)。本記事の主な母集団は、2歳限定の芝重賞1,799頭、東京芝1600mの706レース(うち2歳限定264レース)、および過去10回以上施行されたJRA重賞106レースの比較。サウジアラビアロイヤルカップ自体の記録は10レースで、傾向の分析には使用していません。勝ち馬の前走に関する記述はJRA公開情報によります。脚質はコーナー通過順から判定し、前走情報は各馬の出走履歴を時系列に復元して算出しています。
