マイル重賞は牝馬が強い|富士Sと距離別の性別データ【10年】

富士ステークスは、マイルチャンピオンシップへ向かう前哨戦です。当サイトで過去10年の芝1600m・古馬混合の別定重賞748頭を集計したところ、ひとつの傾向がはっきり出ました。牝馬の複勝率26.9%に対し、牡・セン馬は17.7%。9.2ポイントの差があります。

これは距離固有の現象でした。牡牝混合の芝重賞を距離帯で分けると、牝馬の優位が最大になるのは1600m(+9.5ポイント)。1200m以下では+1.1ポイント、2500m以上では+0.3ポイントしかありません。この記事では、マイル重賞で牝馬を上位に取るべき理由と、他の判断材料を整理します。

結論:マイルは牝馬。そして4歳
  • 牝馬26.9%、牡・セン17.7%。芝1600mは牝馬優位が全距離帯で最大(+9.5pt)
  • 年齢差が極端。4歳31.0%に対し6歳10.8%、7歳以上6.4%
  • 前走G1組32.5%。オープン特別からは12.3%と2.6倍の開き
  • 休み明けが買い。2〜4ヶ月24.5%に対し中4週以内は13.8%
  • 1〜3番人気の勝利は8/10回。ただし配当中央値30,700円・万馬券7回と相手は荒れる
まず、2020年のG2昇格を押さえる
年格頭数3連単配当1番人気勝ち馬の人気
2016G31119,900円9着3番人気
2017G31550,980円1着1番人気
2018G3189,650円4着2番人気
2019G31833,510円9着2番人気
2020G21244,730円9着5番人気
2021G21798,750円1着1番人気
2022G2162,550円1着1番人気
2023G21227,890円1着1番人気
2024G21738,240円2着4番人気
2025G2147,130円2着3番人気

出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)。

2020年にG3からG2へ格上げされています。勝ち馬にはマイルCSの優先出走権が与えられるようになり、集まるメンバーの質が変わりました。

実際、G3時代の4年は1番人気が9着・9着・4着・1着。G2になってからの6年は1着・1着・1着・2着・2着・9着と、上位人気の信頼度が上がっています。ただし6年という母数なので、傾向として断定はできません。

配当は10年中7回が万馬券、中央値30,700円。1〜3番人気の勝利は8回あるので、荒れているのは2〜3着です。

データの詳細と読み方

レース単体は10レース・150頭で、傾向を語れる母数ではありません。そこでこの記事では、芝1600mで行われた古馬混合の別定G2・G3、748頭を主役に据えます。複勝率とは3着以内に入る割合のことで、この層の平均は20.5%です。

① 牝馬が強い。しかもマイルだけ
性別頭数複勝率
牝馬22326.9%
牡・セン馬52517.7%

出典:同上。芝1600mの古馬混合別定G2・G3が対象。牝馬は223頭のため参考値です。

9.2ポイントの差です。これが芝1600mに固有のものか確かめるため、牡牝混合の芝重賞を距離帯で分けました。

距離帯牝馬牡・セン馬差
1600m27.1%(240頭)17.6%(1,304頭)+9.5pt
2100〜2400m28.6%(112頭)20.3%(877頭)+8.3pt
1800〜2000m24.6%(317頭)20.0%(2,378頭)+4.6pt
1400m19.5%(128頭)17.7%(532頭)+1.9pt
1200m以下19.0%(695頭)17.9%(1,107頭)+1.1pt
2500m以上20.7%(111頭)20.5%(1,066頭)+0.3pt

出典:同上。牝馬限定戦を除いた、古馬の芝重賞が対象。300頭未満は参考値です。

1600mが+9.5ポイントで最大。スプリント(+1.1pt)や長距離(+0.3pt)では、ほとんど差がありません。

「牝馬は斤量が軽いから有利」という説明だけでは、この偏りは説明できません。距離を問わず2kg軽いのに、差が出るのはマイルと中長距離だけだからです。マイル戦が要求するスピードと持続力のバランスが、牝馬に向いている可能性があります。

いずれにせよ、マイル重賞では牝馬を一段上に取るという判断には、データ上の根拠があります。

② 年齢——4歳と7歳以上で5倍の差
年齢頭数複勝率
4歳 参考値21331.0%
5歳 参考値24922.1%
6歳 参考値13910.8%
7歳以上 参考値1096.4%

出典:同上。300頭未満のため参考値です。

4歳31.0%に対し7歳以上6.4%。4.8倍の差で、当サイトが集計した古馬重賞のなかでも極端な部類です。

5歳(22.1%)と6歳(10.8%)の間に大きな段差があります。当サイトは夏から秋の重賞を通じて「高齢馬は消し」という傾向を繰り返し確認してきましたが、マイル重賞ではその境目が6歳にあるということになります。

③ 前走の格と休み明け
区分頭数複勝率
前走G1 参考値12632.5%
前走G2 参考値6327.0%
前走G331618.7%
前走オープン特別 参考値19512.3%
前走から2〜4ヶ月 参考値20824.5%
前走から4ヶ月超 参考値11923.5%
前走から中5〜8週 参考値21421.0%
前走から中4週以内 参考値20313.8%

出典:同上。300頭未満は参考値です。

前走G1組が32.5%、オープン特別からは12.3%。2.6倍の開きです。安田記念やNHKマイルCを使ってきた馬を上位に取るのが基本になります。

休み明けも同じ方向でした。中4週以内が13.8%と最も低く、2〜4ヶ月空けた馬が24.5%。当サイトが重賞18,856頭を横断して確認したとおり、重賞では詰めて使ってきた馬のほうが危険です。富士Sは秋の始動戦という位置づけなので、この傾向が効きやすい条件にあります。

④ 土台:東京芝1600mは脚質を選ばない
区分数値
万馬券率/配当中央値64.2%/17,460円
1番人気の勝率/複勝率35.6%/67.6%
3着内の逃げ先行率49.1%
逃げ/先行/差し/追込37.0%/30.9%/21.7%/9.8%
内枠/中枠/外枠19.5%/19.1%/19.5%

出典:同上。東京芝1600mの706レースが対象。

枠順は内19.5%・中19.1%・外19.5%と、ほぼ完全にフラットです。当サイトが集計したなかでも偏りの小さいコースにあたります。

脚質では逃げ37.0%がやや高いものの、差しも21.7%あり、極端な前有利ではありません。直線525.9mはJRAで2番目に長い部類で、決め手を使える馬に出番があります。

前走の上りで見ると、34.0〜34.9秒が25.4%で最上位、35.0秒以上は15.1%。33秒台以下(19.9%)より34秒台のほうが高いのは、極端な瞬発力より持続力が問われる構造を示していると考えられます。

パターン別の深掘り分析

狙いたい形

4〜5歳の牝馬 × 前走G1 × 2ヶ月以上の休養

春のマイルG1を使い、夏を休養に充てて出てきた牝馬。牝馬26.9%、4歳31.0%、前走G1組32.5%、2〜4ヶ月24.5%(いずれも参考値)が重なる形です。

評価を下げたい形

7歳以上6.4% / 前走OP特別12.3% / 中4週以内13.8%

高齢馬、格下からの参戦、詰めて使ってきた馬。いずれも基準(20.5%)を大きく下回ります。7番人気以下は6.8%で、穴を狙う条件でもありません。

牝馬優位はマイル固有

1600m +9.5pt / 1200m以下 +1.1pt / 2500m以上 +0.3pt

斤量差は距離を問わず同じなのに、差が出るのはマイルと中長距離だけ。スプリント重賞に同じ物差しを持ち込まないことです。

馬券への活かし方
  1. 牝馬を一段上に取る26.9%対17.7%。マイル重賞では性別が判断材料になります。
  2. 6歳以上は割り引く6歳10.8%、7歳以上6.4%(参考値)。4歳(31.0%)との差は4.8倍です。
  3. 前走のレース名を見るG1帰りなら32.5%、オープン特別からなら12.3%。格で候補を並べ替えます。
  4. 休養明けを嫌わない2ヶ月以上で23〜25%、中4週以内は13.8%。詰めて使ってきた馬のほうが危険です。
  5. 脚質と枠で絞らない東京芝1600mは内外差がほぼゼロ。位置取りより能力で選びます。
注意点・例外
2020年にG3からG2へ昇格しています

過去10年には格の異なる時期が混在します。G3時代の4年とG2時代の6年では集まるメンバーの質が違うため、レース単体の配当や人気傾向を一律に扱えません。

牝馬の母数は223頭です

26.9%という数字は300頭を下回る参考値です。距離帯別の比較(240頭)も同様で、今後の蓄積で数字が動く可能性があります。

牝馬優位の理由は特定できていません

斤量差だけでは、1600mで差が最大になり1200m以下で消える理由を説明できません。データが示すのは「そうなっている」という事実までです。

複勝率であって回収率ではない

26.9%は「3着以内に来やすい」という意味です。実績のある牝馬は人気にもなりやすいため、当たりやすさがそのまま利益になるわけではありません。回収率は通常100%未満です。

この記事のまとめ
  • 芝1600mの古馬別定重賞で牝馬26.9%、牡・セン17.7%(参考値)
  • 牝馬優位は1600mで+9.5ptと最大。1200m以下(+1.1pt)ではほぼ消える
  • 年齢は4歳31.0%、6歳10.8%、7歳以上6.4%(参考値)と極端
  • 前走G1組32.5%、オープン特別からは12.3%で2.6倍の開き
  • 休み明けが買い。2〜4ヶ月24.5%、中4週以内13.8%
  • 東京芝1600mは内外差がほぼゼロ(19.5%/19.1%/19.5%)

出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)。本記事の主な母集団は、芝1600mで行われた古馬混合の別定G2・G3(748頭)、牝馬限定戦を除く古馬の芝重賞を距離帯別に分けた集計、および東京芝1600mの706レース。富士ステークス自体の記録は10レース・150頭で、2020年にG3からG2へ格上げされているため、傾向の分析には使用していません。脚質はコーナー通過順から判定し、前走情報は各馬の出走履歴を時系列に復元して算出しています。

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