前走G2と前走G3に差はない|前走クラスの読み方【10年データ】

馬柱を見て「前走はG2、こちらはG3か」と序列をつけたことはないでしょうか。格の高いレースを使ってきた馬のほうが強い。自然な発想です。

ところが当サイトで過去10年(2016〜2026年)のJRA重賞18,856頭を集計したところ、その序列は成り立ちませんでした。前走G2の複勝率19.0%に対し、前走G3は18.9%。ほとんど同じです。それどころか3勝クラスから昇級してきた馬(20.9%)のほうが上でした。差がつくのは前走G1組の29.5%だけ。この記事では、前走の格をどう読むべきかを整理します。

結論:見るべきは「前走がG1かどうか」だけ
  • 前走G1組が複勝率29.5%。G2(19.0%)・G3(18.9%)とは10ポイント以上の差
  • G2とG3はほぼ同じ。しかも3勝クラス(20.9%)より低く、格の順に並ばない
  • この差が出るのは上位人気のときだけ。4〜6番人気では前走G1組(24.3%)がG2組(27.1%)に劣る
  • 同じG1帰りでも前走で1〜3着なら48.7%、10着以下なら19.1%。着順まで見る必要がある
  • 芝でもダートでも成立。ただし今走がG2のときに効果が最大(+14.3ポイント)
データの詳細と読み方

対象はJRAの重賞に出走し、前走が判明している18,856頭です。芝・ダート、距離、年齢を問わず集計しました。複勝率とは3着以内に入る割合のことで、全体の平均は20.1%です。

① 前走の格——G2とG3に差がない
前走のクラス頭数勝率複勝率
G12,80511.1%29.5%
3勝クラス7147.8%20.9%
G22,8175.7%19.0%
G34,8456.5%18.9%
1勝クラス1,0764.8%17.4%
オープン特別4,8325.2%16.6%
2勝クラス2002.5%14.5%

出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)。JRAの重賞に出走し、前走が判明している馬が対象。

並べてみると、格の順になっていないことがはっきりします。G2(19.0%)とG3(18.9%)の差は0.1ポイント。しかも3勝クラスを勝ち上がってきた馬(20.9%)のほうが、G2帰りより上です。

勝率で見ると差はさらに明確で、前走G1組が11.1%なのに対しG2組は5.7%。G1に出走した馬とそれ以外の間に線があり、G2とG3の間には線がないという構造です。

理由は考えやすいでしょう。G1に出走できるのは、賞金や実績で選ばれた馬たちです。一方でG2とG3の出走馬は、賞金面で大きく重なります。レース名の格が、そのまま出走馬の質を反映しているわけではないということになります。

② この差が出るのは、上位人気のときだけ
前走1〜3番人気4〜6番人気7番人気以下
G153.2%(1,054頭)24.3%(712頭)9.1%(1,025頭)
G247.0%(541頭)27.1%(572頭)7.5%(1,692頭)
G345.4%(848頭)26.0%(965頭)9.2%(3,012頭)
オープン特別47.5%(674頭)25.8%(776頭)8.4%(3,361頭)

出典:同上。数値は複勝率。

ここが重要です。1〜3番人気では前走G1組が53.2%で最上位ですが、その差はG3組(45.4%)と比べても7.8ポイント。4〜6番人気になると、前走G1組(24.3%)はG2組(27.1%)にもG3組(26.0%)にも負けています。7番人気以下でも横並びです。

つまり「前走G1だから買い」という単純な使い方はできません。①で見た29.5%という数字は、前走G1組に上位人気の馬が多く含まれることで押し上げられている面があります。

実用的に言えばこうなります。前走の格は、人気馬の信頼度を測るときにだけ使う。人気を落としている馬については、前走がG1でもG3でも判断材料になりません。

③ 同じG1帰りでも、着順で4倍変わる
前走G1での着順頭数複勝率
1〜3着63748.7%
4〜5着38134.9%
6〜9着67625.4%
10着以下1,11119.1%

出典:同上。

G1で3着以内に入っていた馬は48.7%、10着以下だった馬は19.1%。2.5倍の開きがあります。

注目すべきは、前走G1で10着以下だった馬(19.1%)が、前走G3組の平均(18.9%)とほぼ同じだという点です。G1を使ったという事実だけでは価値がなく、そこで通用したかどうかが問われます。「G1帰り」という言葉に、それ以上の意味を持たせないほうがよさそうです。

④ 芝でもダートでも、今走G2で効果が最大
区分前走G1前走G2・G3
今走がG127.0%(927頭)16.6%(2,374頭)+10.4pt
今走がG234.5%(928頭)20.2%(1,944頭)+14.3pt
今走がG327.1%(950頭)19.9%(3,344頭)+7.2pt

出典:同上。数値は複勝率。

効果が最も大きいのは今走がG2のとき(+14.3ポイント)でした。G2は、G1帰りの実力馬と、G3を勝ち上がってきた馬が同居しやすい舞台です。実力差が最も開きやすいと考えられます。

逆に今走がG1だと+10.4ポイント、G3だと+7.2ポイントと差が縮みます。G1では全体の質が高く、G3ではG1帰りの馬自体が少ないためでしょう。

馬場別に見ると、芝重賞では前走G1組29.9%(2,551頭)に対しG2組19.0%、G3組18.7%。ダート重賞でも前走G1組25.6%(254頭・参考値)に対しG3組19.6%、オープン特別18.2%。芝とダートで構造は変わりません。

パターン別の深掘り分析

信頼できる形

前走G1で3着以内 = 48.7%(637頭)

G1で通用した実績があり、今走で人気を集めている馬。とくに今走がG2なら、前走G2・G3組との差は14.3ポイントまで開きます。

買いかぶりやすい形

前走G2 = 19.0% / 前走G3 = 18.9%

「前走はG2だから格上」という評価に、データ上の根拠はありません。3勝クラス勝ち(20.9%)のほうが上という結果でした。

人気薄では使えない

7番人気以下は前走の格を問わず7〜9%

4〜6番人気ですら前走G1組(24.3%)がG2組(27.1%)に負けています。この指標は、上位人気の判断にだけ使うものです。

馬券への活かし方
  1. G2とG3を区別しない複勝率19.0%対18.9%。前走のレース名の格だけで序列をつけないことが出発点です。
  2. 前走G1組は着順まで確認する3着以内なら48.7%、10着以下なら19.1%。G1に出ていた事実そのものには価値がありません
  3. 上位人気の判断にだけ使う1〜3番人気なら前走G1組53.2%が最上位。4〜6番人気以下では逆転します
  4. G2の重賞で特に意識する前走G1組とG2・G3組の差が14.3ポイントと最大になります。実力差が開きやすい舞台です。
  5. 3勝クラス勝ちを軽視しない20.9%はG2帰り(19.0%)を上回ります。昇級初戦だからと機械的に割り引かないことです。
注意点・例外
レース単位の傾向とは別物です

本記事はJRA重賞18,856頭を横断的に集計したものです。個別のレースには、そのレース固有の傾向があります。当サイトの重賞記事とあわせてご覧ください。

前走G1組には上位人気が多く含まれます

29.5%という数字は、前走G1組に人気馬が多いことで押し上げられている面があります。人気を揃えると差は縮み、4〜6番人気では逆転する点にご注意ください。

ダートのサンプルは限られます

ダート重賞で前走G1だった馬は254頭で、300頭を下回るため参考値です。中央のダート重賞自体が少ないことによるものです。

複勝率であって回収率ではない

48.7%は「3着以内に来やすい」という意味です。前走G1で好走した馬は人気にもなりやすいため、当たりやすさがそのまま利益になるわけではありません。回収率は通常100%未満です。

この記事のまとめ
  • 重賞18,856頭で検証。前走G2(19.0%)とG3(18.9%)に差はない
  • 差がつくのは前走G1組の29.5%だけ。3勝クラス勝ち(20.9%)はG2帰りより上
  • ただし上位人気のときだけ有効。4〜6番人気では前走G1組がG2組に劣る
  • 同じG1帰りでも前走1〜3着48.7%、10着以下19.1%と2.5倍の差
  • 前走G1で10着以下だった馬は、前走G3組の平均とほぼ同じ
  • 効果が最大なのは今走がG2のとき(+14.3pt)。芝・ダートで構造は変わらない

出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)。対象はJRAの重賞に出走し、前走が判明している18,856頭。前走情報は各馬の出走履歴を時系列に復元して算出しています。

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