休み明けは割引。競馬を長くやっている人ほど、この感覚を持っているはずです。実際、当サイトが過去10年(2016〜2026年)の重賞以外39万頭を集計すると、そのとおりの結果が出ます。中3週の複勝率25.1%に対し、6ヶ月超は14.3%。間隔が空くほど成績は落ちます。
ところが重賞18,856頭では、この関係が完全に逆転します。中2週以内が13.2%で最低、4〜6ヶ月の休み明けが26.3%で最高。倍の開きです。この記事では、なぜ重賞だけ逆になるのかを整理します。
- 重賞では中2週以内13.2%、4〜6ヶ月26.3%と、間隔が空くほど成績が上がる
- 重賞以外は真逆。中3週25.1%、6ヶ月超14.3%で、通説どおり休み明けは割引
- 重賞でも6ヶ月を超えると18.2%まで落ちる。無制限に良いわけではない
- 前走の格を揃えても成立。前走G1組でも中3週以内23.2%、2ヶ月超32.2%
- この差が効くのは上位人気のときだけ。4〜6番人気以下では間隔による差がほぼ消える
対象はJRAの平地レースに出走し、前走からの間隔が判明している馬です。重賞18,856頭と、重賞以外393,065頭を分けて集計しました。複勝率とは3着以内に入る割合のことです。
| 前走からの間隔 | 重賞(18,856頭) | 重賞以外(393,065頭) |
|---|---|---|
| 中2週以内 | 13.2% | 22.8% |
| 中3週 | 15.8% | 25.1% |
| 中4〜5週 | 19.2% | 21.8% |
| 中6〜8週 | 21.6% | 22.1% |
| 2〜4ヶ月 | 24.4% | 19.9% |
| 4〜6ヶ月 | 26.3% | 17.4% |
| 6ヶ月超 | 18.2% | 14.3% |
出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)。数値は複勝率。
重賞以外では、中3週の25.1%を頂点に、間隔が空くほど落ちていきます。「休み明けは割引」という通説どおりです。
ところが重賞では逆で、中2週以内の13.2%が最低。そこから右肩上がりに伸び、4〜6ヶ月で26.3%に達します。同じ休み明けが、重賞では買い材料になるということです。
勝率で見るとさらに極端で、重賞の中2週以内は3.6%、4〜6ヶ月は10.1%。3倍近い差がつきました。
重賞でも無制限に良いわけではありません。4〜6ヶ月の26.3%に対し、6ヶ月超は18.2%まで落ちます。全体平均(20.1%)も下回りました。
4〜6ヶ月というのは、春のG1シーズンを走り、夏を休養に充てて秋に始動する、あるいは秋を使って年明けに復帰する、といった一般的な間隔です。一方で6ヶ月を超えると、故障明けや長期の立て直しが含まれてくると考えられます。
実用的には「2ヶ月から6ヶ月までが買い、それを超えたら慎重に」という線引きになります。
前走の格を揃えて確かめました。
| 前走 | 中3週以内 | 2ヶ月超 | 差 |
|---|---|---|---|
| G1 | 23.2%(310頭) | 32.2%(1,732頭) | +9.0pt |
| G2 | 13.4%(681頭) | 23.5%(800頭) | +10.1pt |
| G3 | 13.8%(1,013頭) | 20.2%(1,791頭) | +6.4pt |
出典:同上。数値は複勝率。
どの格から来ても、2ヶ月以上空けた馬のほうが上でした。「強い馬が休養を挟むから数字が良く見えるだけ」ではないということです。
考えられる説明は2つあります。ひとつは消耗。重賞は相手が強く、1走ごとの負担が大きい。詰めて使えば疲労が抜けないまま次に向かうことになります。
もうひとつは陣営の選択です。有力馬は目標を定めて使われ、そこに向けて余裕を持った間隔を取ります。逆に詰めて使われるのは、賞金を積む必要がある馬や、状態が良いうちに数を使いたい馬が多い。間隔そのものが、陣営の自信を映す面があると考えられます。
| 人気 | 中3週以内 | 中4〜8週 | 2〜4ヶ月 | 4ヶ月超 |
|---|---|---|---|---|
| 1〜3番人気 | 45.6% | 47.6% | 49.2% | 52.0% |
| 4〜6番人気 | 26.9% | 25.7% | 25.7% | 24.6% |
| 7番人気以下 | 7.3% | 9.7% | 9.5% | 7.2% |
出典:同上。数値は複勝率。
1〜3番人気では45.6%から52.0%へ、間隔が空くほど上がります。ところが4〜6番人気ではむしろ中3週以内(26.9%)が最上位で、7番人気以下も横並びです。
当サイトが前走の格を分析したときと同じ構造でした。この指標は、人気馬を信頼できるかどうかを測るときに使うものです。人気を落としている馬について、間隔から何かを読み取ることはできません。
| 年齢 | 中3週以内 | 2〜4ヶ月 | 4ヶ月超 |
|---|---|---|---|
| 3歳 | 14.1% | 26.3% | 25.6% |
| 4〜5歳 | 18.3% | 27.5% | 26.6% |
| 6歳以上 | 9.5% | 15.8% | 16.2% |
出典:同上。数値は複勝率。
どの年齢でも間隔を空けたほうが良いという方向は同じです。ただし6歳以上で詰めて使った馬は9.5%と、全体で最も低い数字になりました。10頭に1頭しか馬券圏内に来ません。
当サイトが夏の重賞を分析した際、7歳以上の成績が軒並み低いことを確認しました(芝1200mハンデ8.5%、中京記念6.3%など)。高齢馬にとって、詰めたローテーションはとくに厳しいということです。
信頼できる形
2〜6ヶ月の休み明け × 上位人気
目標を定めて余裕を持って使われた馬。1〜3番人気で4ヶ月超なら52.0%。前走がG1なら2ヶ月超で32.2%まで上がります。
危ない形
中2週以内13.2% / 6歳以上×中3週以内9.5%
重賞を詰めて使ってきた馬。とくに6歳以上では9.5%と、10頭に1頭しか来ません。前走G2から中3週以内も13.4%と低い数字です。
条件戦とは逆に考える
重賞以外は中3週25.1%、6ヶ月超14.3%
同じ「休み明け」でも、条件戦では通説どおり割引材料です。重賞とそれ以外で、判断を切り替える必要があります。
- 重賞では休み明けを嫌わない2〜4ヶ月24.4%、4〜6ヶ月26.3%。中2週以内(13.2%)のほうが危険です。
- 6ヶ月を超えたら一段慎重に18.2%と全体平均を下回ります。故障明けや長期の立て直しが含まれる領域です。
- 上位人気の判断にだけ使う1〜3番人気なら45.6%から52.0%まで動きます。4〜6番人気以下では差がありません。
- 6歳以上の連闘・詰めローテは切る9.5%。高齢馬にとって詰めたローテーションは特に厳しいという結果です。
- 条件戦では逆に考える重賞以外では中3週が最良(25.1%)、6ヶ月超は14.3%。同じ物差しを持ち込まないことです。
間隔そのものが能力を高めるわけではなく、陣営が目標を定めて余裕を持って使ったこと、あるいは詰めて使われる馬に事情があることの反映と考えられます。因果の向きには注意してください。
4〜6番人気では中3週以内(26.9%)が最上位で、傾向が消えます。人気を落としている馬の判断材料にはならないと割り切ってください。
当サイトが紫苑ステークスを分析した際は、2〜4ヶ月がピークで4ヶ月超は落ちるという結果でした。3歳牝馬という条件による違いです。レースごとの傾向とあわせてご覧ください。
26.3%は「3着以内に来やすい」という意味です。休み明けの実力馬は人気にもなりやすいため、当たりやすさがそのまま利益になるわけではありません。回収率は通常100%未満です。
- 重賞では中2週以内13.2%、4〜6ヶ月26.3%。間隔が空くほど成績が上がる
- 重賞以外は真逆で中3週25.1%、6ヶ月超14.3%。通説どおり休み明けは割引
- 重賞でも6ヶ月超は18.2%と落ちる。買えるのは2〜6ヶ月まで
- 前走の格を揃えても成立。前走G2からの中3週以内は13.4%と低い
- 効くのは上位人気のときだけ。4〜6番人気では差が消える
- 6歳以上×中3週以内は9.5%で最低。高齢馬の詰めローテは特に厳しい
出典:TARGET frontier JV(2016〜2026年、JRA平地レースを当サイト集計)。対象はJRA平地レースに出走し、前走からの間隔が判明している馬(重賞18,856頭、重賞以外393,065頭)。前走情報は各馬の出走履歴を時系列に復元して算出しています。
